【講師ver】 No.6 内発的動機付けと学習意欲の発達 レポート

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/38/2/38_146/_pdf/-char/ja

 

内発的動機付けと学習意欲の発達 レポート        

川口隼人

私たちは普段、生徒と面談する際、彼らのモチベーションを生成している。モチベーションというものがこの論文の動機づけの一部に該当するものであると私は考える。ここでは、講師がどのように行動すれば、生徒の学力の向上につながるのかを外発的条件づけ・内発的動機付けの観点から論じていく。

 

まず、内発的動機付けの概念は個人によって理論背景が異なるが、ほとんど同じ生理的現象に注目しているため、筆者は次のように定義している。すなわち、 内発的動機づけとは「自己目的的な学習の生起・維持過程であり、「熟達指向性」と「自律性」という特徴を合わせ持つものである(鹿毛,1994)。一方、筆者は、Lepperの見解から、外発的動機付けを外的に存在する条件によって意欲が引き起こされる性質を持っている動機付けだと認めている。私は、この論文を読む前は、外敵に存在する条件は実態のある形を成した報酬のみだと思っていた。しかし、他者よりも優位に立ちたいという状況的条件もそれに含まれることを初めて理解した。私はこの定義から、児童生徒が行う学習・勉強は、内発的動機付けと外発的動機付けの両方が交互に作用し、また勉強を始める理由が外発的な条件だったとしても、勉強を続ける理由が内発的に切り替わることが難しい生徒は成績が伸びづらい傾向にあると考える。

 

勉強や学習における外的条件は、テストで高得点を取りたい・目指す学校に進学したいなどさまざまである。しかし、これらのほとんどは勉強を始める前に想起するきっかけである。問題を解いているときは、上記の願望が勉強という行動の続行を促しているのではない。この勉強を続ける動機が外発的か内発的かで、成績に差が生まれると私は考えているのだ。私が最も懸念しているのは、勉強からの逃避が外発的動機として勉強の続行を促す場合だ。勉強をとにかく早く終わらせたいからと、勉強中にまでその動機を持ち続けると、疑問をもち解消する機会や理解のための思考の余地を無意識になくしてしまう。

 

では、勉強中、内発的条件になるべく早く切り替えるためにはどのように講師は生徒に接していけばいいだろうか。教室運営の観点から見ると、生徒間の「勉強に関する交流」を増加させていくべきだと私は考える。勉強に関する会話の中で生じる承認や優劣の比較が、状況的必然性を促す。漠然と周囲が勉強するからというのではなく、周りの点数が上がっているからという意識が大切である。危険なのは、勉強時間に縛られてしまうことだ。これも勉強を続ける動機が長時間勉強することになり、結果のための思考をできるとは限らない。いかに点数や勉強方法などの勉強の中身の話をするかが重要である。そうすることで、勉強中に結果を出すための思考が増える。というよりかは考えざるを得ない状況をつくることになる。その思考が実を結んだときに、児童生徒は成功体験を積む。故に、問題を解くこと自体への意欲も向上し、勉強前の外発的動機付けから、内発的動機付けへの移行が早くなると私は考える。また、面談の観点からみると、思考と成功を結ぶフローの説明とその証明をするべきだ。成績が上がったり、問題が解けるようになったりするメカニズムを理解している高校生は少ない。その要因が思考だと理解させるには、講師の論理的な面談でのトークが必要になる。

 

以上のように、内発的動機付けと外発的動機付けの概念は、時折、生徒や教室を管理する鍵になる。もしこの概念の知識がなければ、生徒のモチベーション管理は手当たり次第のものになってしまうかもしれない。効率や思考を語る我々だからこそ、1つの教養としてこの概念を知っておく必要があると私は考える。